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インクルーシブな場づくりを考える 〜ホースセラピーの現場をヒントに〜 @森のようちえん全国交流フォーラムat富士山2022

コラム

2022年10月下旬に、森のようちえんの全国交流フォーラム at 富士山が3日間の日程で開催されました。
フォーラムは、全国の森のようちえん実践者などが集まり、様々な分科会のみならず、夜の交流会などを通して、情報交換や交流を図るイベントです。

今回のフォーラムの2日目に、「インクルーシブな場づくりを考える〜ホースセラピーの現場をヒントに」というテーマで分科会を黍原が担当させていだきました。

当日の分科会では、森のようちえん関係者のみならず、馬に関わる方、子どもの居場所づくりに携わる方と、「そもそもインクルーシブって何」「馬や自然の力を頼りながら、どうしたらインクルーシブが実現できるのか」ということを3つのレクチャーの後に参加者同士でアイデアを出し合いながら、共に深く学び合う時間となりました。

富士山の麓で、屋外での実施
馬も参加?!

参加者から次のようなご感想をいただきました。

  • 私たち大人が変わることが必要
  • 自然や馬などの環境が整っているのだから、自分が変われば、今おかれている状況がもっと豊かになる
  • その場の変化に留まらず、子ども達が変われば親も変わり、周囲の地域にも影響を及ぼす
  • 分科会の内容を帰ってから仲間にシェアしたい

分科会にご参加いただいた皆さんの社会をよくしたいという思いが、場にあふれていて、その思いが、お互いの心に響き合い、僕自身も学びの多い時間を過ごすことができて、参加者の皆さんには、感謝しかありません。
(隣のブースで分科会を担当されていた方から、「黍原さんの分科会盛り上がっていましたね」コメントを頂きましたが、会場が沸くという感じはでは無くて、参加者一人ひとりの価値観を見つめ直して、深く思考を巡らしていて、まだまだ対話を続けたいという雰囲気でした。)

分科会の当日に提示した資料やミニレクチャーでお話した同様の内容の解説音声のほか、更に理解を深める書籍などが以下にまとめてありますので、こちらの分科会に参加できなかった方でも、それぞれの現場でインクルーシブな場づくりを始めるきっかけになると考えております。

一歩踏み出す際に、不安もあるかもしれませんが、きっと「馬・自然」が僕らを手助けしてくれます。

各地でインクルーシブな場づくりが広がり、差別のない社会へと近づくことを願っております。

内容についての、疑問点やコメントなどございましたら、お気軽に問い合わせフォームよりお寄せ下さい。

僕らの現場もインクルーシブな場づくりの途上にあります。もし、機会がありましたら、三陸駒舎の現場にもお越しいただき、馬や子どもたちに出会っていただきながら、インクルーシブな場づくりについて語り合いましょう!

三陸駒舎 黍原(きびはら)

3つのミニレクチャー「インクルーシブな場づくりを考えるヒント」

今回の分科会は、大きく次の3つのパートで構成しました。

  1. インクルーシブの前提となる視点・考え方
  2. なぜ馬がインクルーシブな場づくりによいのか
  3. なぜ自然はインクルーシブな場づくりに良いのか

こちらから1つずつミニレクチャーを行った後に、その内容についての気づきや感想を3-4名のグループで議論して、そこでの出てきた内容を全体に共有するという流れで進めていきました。
分科会の最後は、全体の感想のみならず、今後取り組んでみたいことなどについても、お一人ずつ話していただきました。

3つのパートのミニレクチャーについては以下に、音声コンテンツを中心にアップします。
音声だけでも分かるように構成してありますので、作業しながら・移動しながら等、スキマ時間でもお聴きいただけると思います。

分科会の当日は、こちらからのレクチャーは最低限にして、皆さんとの対話や質疑応答など、双方向のやり取りを中心に進めていきました。

インクルーシブな場づくりを考える#1&#2【前提編】

#1、#2では、インクルーシブな場づくりを考える上での、「前提となる5つの視点」、「構成要素」について話しています。

前提となる5つの視点

  1. 当たり前、ふつうは「特権」かも〜特権とは存在すら気付かない自動ドア
  2. 感じ方はみんな違う〜感覚統合の視点から
  3. DE&I〜多様性と公正&インクルージョン
  4. 障害はどこにあるの?〜医療モデル、社会モデル
  5. 合理的配慮〜社会のバリアを取り除く、個別のニーズに合わせる

場の構成要素

インクルーシブな場づくりを考える際のヒントに

  1. 参加しているメンバー(大人、子ども、動物達)
  2. 環境(活動している周辺の自然環境、拠点やその周り)
    →三陸駒舎であれば、森、川、畑、古民家など
  3. 活動内容
    どんな活動をするのか、活動をどの様に提供しているか(スタッフの関わり方など)
補足資料、関連情報
【冊子】インクルーシブって、なぁに? 〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜
インクルーシブって、なぁに? 〜子どもを分けない場づくり はじめの一歩〜 | TOKYO PLAY powered by BASE
※10冊以上のご注文の場合はinfo@tokyoplay.jpまでご連絡下さい※「インクルーシブ」と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。障がいのある人や、その人たちのための場所や物を思い浮かべる人が多いかもしれません。この本は、障がいの「あ...
「特権」についての詳しい話
出口 真紀子:マジョリティの特権を可視化する~差別を自分ごととしてとらえるために~|クローズアップ|東京人権啓発企業連絡会
ひろげよう人権。私たちは企業の立場から人権の輪をひろげるため、人権に関するさまざまな情報を発信しています。
「感覚統合」の解説
国連が日本政府に勧告「障害のある子どもにインクルーシブ教育の権利を」
国連が日本政府に勧告「障害のある子どもにインクルーシブ教育の権利を」(野口晃菜) - エキスパート - Yahoo!ニュース
2022年8月22日・23日に、スイス・ジュネーブの国連欧州本部で、日本政府は「障害者の権利に関する条約」(以下、障害者権利条約)に関する初めての審査を受けた。障害者権利条約とは、2006年に国連が

インクルーシブな場づくりを考える#3&#4〜なぜ馬がインクルーシブな場づくりによいのか

なぜ、馬が良いのか5つの視点から解説。
5つの視点を踏まえた、まとめの部分が、場づくりの肝です。

馬がインクルーシブな場づくりに良い5つの理由

(1) 馬の群れはティール組織的

馬の群れは、様々な馬が存在する
リーダーは、その時の状況に応じて変わる

(2) 馬は人を覚えない

馬の認識の仕方→×個体認識→〇構造認識
先入観なく、誰とでも平等に接する

(3) 空気を読む

言葉によるコミュニケーションが必要無い
ミラーニューロンが発達しており、感じる力強い

言語でのコミュニケーションが苦手な子どもでも一緒に活動できる

(4) マインドフルネス

今ここに集中する状態になれる
良い意味で、あれこれ考えている余裕がなくなり、
先入観が消えた状態で関わり合いが持てる。

(5) 馬を介在して多様な活動がつながる〜意味ある活動、多様な感覚刺激

エサやり、掃除、調教、ブラッシング、修繕…

多様な子ども達に合った活動が提供できて、それぞれがバラバラな活動としてではなく、全体としてつながった活動して、子ども達にとっても意味ある活動として展開される。

全体のまとめ「人間中心主義から馬中心主義へ」

そもそも、馬に頼った場づくりに考え方を切りかえることで、
その場の在り方が変化し、自然とインクルーシブな場が立ち上がってくる。

馬ではなくて、森や川、畑などに頼ることもできるが、
森の声を聴くことができるような、開いた感覚がないと難しい。

その点、馬は、心と身体がつながっていて、身体の反応でこちらにフィードバックを返してくれるので、こちらの気づきも起こりやすい。

補足資料、関連情報

5つの理由の (2) 馬は人を覚えない、(3) 空気を読む を別の角度から説明しています。

全体のまとめに通ずる、馬中心主義が大切な理由

インクルーシブな場づくりを考える#5〜なぜ自然はインクルーシブな場づくりに良いのか

森のようちえんなどの活動において、インクルーシブな場づくりを進める上で、ポイントとなる5つの視点です。

自然がインクルーシブな場づくりによい5つの理由

(1) モノサシが多様、モノサシがない

「こうしなくては、いけない」ということがない
自由に活動できる
カリキュラムに縛られない

(2) 遊びの種類が多い

決まった活動をしなくても良い
自然の中にいると自由に選べる
ただ石を投げていても良い

(3) 大人が変わる

大人が、自然の中で、開放される
固定概念が無くなっていく
大きなケガがなければ良いや、死ななければ良いや
ゆったりと構えられる

(4) フィールドが広大

そこら中に、教材がいっぱいある
季節によっても変化する

(5) 多様の動植物が受け応えてくれる

馬、ヤギ、ウサギ、犬、猫、ニワトリなど
実のなる植物、果樹や木のみなどの恵みが得られる
様々な個性を持つ動植物と様々な個性を持つ子どもがつながる

補足資料、関連情報

自然が、子どもの身体と脳の育ちに良い理由を「非定型」をキーワードに解説

分科会の実施を終えて

当日、使用した資料や参考文献など

当日、掲示した資料

クリックするとPDFファイルが開きます。

さんこまラジオ「分科会の振り返り・まとめ」

分科会を経ての気づき5つ

(1) インクルーシブに関連する言葉や視点を知ることで意識できる

何となくやっていたことが意識できて、スタッフ間で共通の認識として、やり取りが可能となる

(2) 馬が必要としてるから子どもの自発性が生まれる

大人がやりなさいというのではなくて、馬が必要としているから、自然と子ども達が動く

(3) 「ちゃんとできないといけない」という呪縛からの解放

馬と関わると、できていない自分があからさまになる。 大人の困り感を子どもに伝える

(4) 大人のマインドセットの変化を馬や自然が後押ししてくれる

自然観、価値観の変化。考え続ける際に、馬や自然が気付きを与えてくれる。

(5) その場の変化が周辺にも影響を及ぼしていく

子どもが変わる→保護者、周りの地域も変わる


分科会の最後は、「幸福な社会実現に向けて社会をどう捉えて、そこに僕らは何をすべきか」という議論になりました。

インクルーシブな場づくりは、幸福な社会へとつながっています。
ぜひ、各地でインクルーシブな場づくりへの模索が広がることを願っています。

参考情報「大人が社会が、何を幸福と思うのか?」

インクルーシブな社会を考える上で、「大人が社会が、何を幸福と思うのか?」という質問の際に示した書籍です。タイトルからは、難しそうな印象を受けますが、本文は、対話形式で、図表も多くて、とても分かりやすい内容です。関心がある方は、ぜひ手にとって下さい。

社会をどの様に捉えるかで、私たちのすべき事は、大きく異なります。ポッドキャスト「さんこまラジオ」で、社会の捉え方についても話しています。

分科会の参加者の感想、コメント

分科会にご参加いただいた方の感想やコメントの一部をこちらに紹介いたします。

  • インクルーシブについて語り合うのは初めてだったので、座談会形式にして頂いて、とても嬉しかったです。
    自分が目指したいもの、やりたいこと、できることが明確になりました。今日も一歩「インクルーシブな私」を実現したいです。
  • 深く考えさせられました。ー宿題にして、園でも他スタッフと話し合っていきたい。
  • 自分個人としてのあり様、普段から子どもの前に立つ人間としての関わり方を意識的にして行こうと感じた。
  • 馬に興味を持ったので、どこかで接したい
  • 日々の保育を振り返りながら、インクルーシブをつながえる、とても深い時間になりました。
  • 今日の様な時間をスタッフ間で行いたいと思いました。
  • コロナ渦となり、今この社会はどうなのかと考えていました。その中でできることとして、ようちえんの森を開放することで、自然や馬との触れ合いを通して同調圧力から解放されたいと思っていました。
  • 自然を大切にすること、守りながら子ども達の未来を社会を明るく変えていくことができるように一歩踏み出していきたいです。
  • 社会って大きいけれど自分からやっていく
  • インクルーシブについて改めて考えるきっかけになり意識することができた。
  • 馬や生き物を生かした活動を展開したい。
  • マインドセットをつくる上で、多様な場、社会と関わる場、それにおいて、自然や動物はとてもパワフルだとわかりました。
  • 時間はかかるが少しずつ動いていくことで社会が変わる
  • 馬、インクルーシブ以上の社会観に繋がる事がらにも視野が広がるものでした。
  • とても楽しく学び合うことができました!インクルーシブとは?というところを切り口に普段の保育での自分を模索いくヒントをたくさん得ることができてとてもうれしい気持ちです。また、若い大学生の子の感想が聞けたのも勉強になりました!『帰って仲間にシェアしたい』のところ。

参考情報

その他、関連する情報をいくつかこちらに挙げておきます。

感覚統合

感覚統合は、子ども達の遊びや育ちを理解する上でとても役に立つ理論です。

「その子どもが、なんで、その遊びをしているのか」
「じゃあ、こういう遊びの展開をしたら、もっと子どもの育ちにつながるだろうなぁ」
ということが、見えてきます。

発達にデコボコがある子どものみならず、森のようちえんなど自然の中での活動の質を根拠を持ちながら高めることができます。

感覚統合のオススメの書籍

具体的な事例も多くて理解しやすく、感覚統合について網羅されています。1冊だけ挙げるとしたら、こちらの書籍をオススメしています。

こちらは、イラストや図も多くて入門書として

感覚発達のチェックリスト

こちらのチェックリストは、子どもの感覚特性を掴む上で、役立ちます。

チェックリストの解説はこちら

JSI-mini 日本感覚インベントリー
日本感覚統合インベントリー(JSI)のホームページです。 JSI-R,JSI-3D,JSI-S,JSI-mini に関するコンテンツがあります。

オススメ書籍・漫画

こちらの書籍は、インクルーシブを幅広く捉え直すことができます。こちらの書籍の元になったインクルージョン研究会「あぜみ」に僕も参加してインクルーシブへの理解が深まりました。

こちらの漫画は、障害のみならず、ステップファミリー・ヤングケアラー・グリーフケアなど様々な子どもを取り巻くテーマを取り扱っています。まだ、未読ですが、10巻では、感覚統合も扱っているとか。

馬とのコミュニケーションの世界を知りたい方へ

はしっこに、馬といる – kadibooks

三陸駒舎のホースセラピー、取り組みについて

三陸駒舎の取り組みを詳しく話した動画リスト

テレビなどで放送してもらった動画など

ポッドキャストでホースセラピーや自然の中での子どもとの関わり方などについて語っています。

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