ふるさと納税で馬や子どもを応援!(2,000円の負担で、それ以上の支援になります)

Yahoo!ニュースに掲載〜馬が自然が子どもを癒やし成長させる 毎月延べ200人が利用する岩手・釜石市の三陸駒舎

yahoo!ニュース スクリーンショット コラム

東日本大震災から10年
これまでの取り組みをYahooニュースに掲載していただきました。

「馬を通して、命の輪がつながっていることを知って欲しい」
「ここに来ると、(息子に)そういう障害があるのを忘れます」

利用児の母のインタビューより

記事の作成を通して、セラピー利用児のお母さんへ1時間半のインタビューを行いました。
これまでの取り組みの意味を再確認する機会になりました。
これらの言葉を聞いたときに、これまでの苦労が報われ、とても勇気づけられました。馬の力は、偉大だと実感。

また、今回の記事では、これから新たに取り組む「馬×パン工房」のプロジェクトにも触れています。この先の10年も馬の力に頼りながら進んでいきます。

「馬×パン工房」の立ち上げ、困難を抱える子どもの支援に活用する、ふるさと納税も募集中です。
実質2,000円の負担でそれ以上の支援が可能です。(返礼品に、パンとオリジナル・ポストカードをお送りします。)

馬が自然が子どもを癒やし成長させる 毎月延べ200人が利用する岩手・釜石市の三陸駒舎【#あれから私は】

Yahooニュースへの掲載期間は終了しましたが、記事の内容を再編集して以下に掲載いたします。
(2021年3月掲載時の内容をベースに再編集しました。)

初めての馬の世話。とってきた草を馬に与えて喜ぶ。この後、何度も繰り返していた=2018年9月

 震災で親を亡くしたり、家が被災して生活環境が大きく変化したり、学校への行き渋りがあったりと様々な困難を抱えている子どもがいます。三陸駒舎は、障害があったり発達に遅れがあったりする子どもたちにホースセラピーや自然体験などを提供する、岩手県沿岸部の釜石市にある一般社団法人です。2017年12月から障害児の受け入れを本格的に始め、現在延べ200名以上の子どもたちが毎月利用しています。9割以上が沿岸市町村に住む4歳から18歳までの子どもたちです。

どさんこに乗り河原へ雪のあぜ道へ 集落内を散策30分

三陸駒舎の拠点は元々馬と暮らしていた築95年の古民家。すぐ横に馬場がある=釜石市橋野町

 三陸駒舎でのある土曜日の様子です。
 午前10時、隣の大船渡市から林崎絢心さんがやって来ました。今春小学校に入学する6歳。1年半前からお父さんやお母さんとほぼ毎週来ています。
 着くとすぐ乗馬の準備。10歳の北海道和種馬(通称:どさんこ)・「アサツキ」の肩にポンポンとタップであいさつした後、ブラッシングし鞍などの道具をつけヘルメットをかぶって完了です。

 この日は、「お散歩したい」と言うので馬に乗って集落内を散策しました。スタッフが馬を引きますが、どこに行くかは絢心さんが指示を出します。
 最初に向かったのは河原でした。馬から降りると石を拾って川に投げ入れます。水しぶきが楽しい様子で、両手じゃないと持てないような石にも挑戦しています。しばらく石を投げ入れた後に乗馬を再開。雪の残る畑の周りのあぜ道を歩いたり、走ったりして集落内をぐるっと回りました。

 30分ほどで三陸駒舎に戻ってくると、鞍などを外し、水をあげブラッシングなどをして、最後に馬の肩にポンポンとタップして感謝の気持ちを伝えて終了。準備から最後の挨拶まで1時間弱のプログラムです。
 「動物が少し苦手だったり、手が汚れたらすぐに洗ったりということもありましたが、自然に触れるようになったのはとても良かった」とお母さんの真莉亜さんは言います。
 ホースセラピーによる我が子の変化を「発達が遅くて立てなかった子どもが立てるようになった」(4才男児の母)、「姿勢と体幹がとても良くなり、長時間座れるようになった」(7才女児の母)、「指先が器用になってブロック遊びや絵を描くようになった」(5才男児の母)と親たちは語ります。

 土曜日の午前中から午後3時までは、1・2名ずつ、このようなプログラムを提供していて、毎週5名ほどの利用があります。北は岩手沿岸の宮古市、南は陸前高田市から、保護者の方と一緒に1時間半ほどかけて通ってきます。毎週利用する子もいれば、数カ月に1回という子もいます。

馬に思いを託す母「命の輪がつながっていることを知って欲しい」

みんなでヤギやウサギ、犬の世話もする。これもセラピーの大切な活動=2021年1月

 午後3時からは、迎えの車に乗ってきた釜石市内と隣町の大槌町の小中学生6~8名が集団で活動します。
 まず動物の世話。三陸駒舎には馬3頭に加え、ヤギやウサギ、犬もいます。馬の部屋のウンチを拾って掃除したり、ヤギやウサギの部屋の稲わらを交換したり、水を替えたり、エサの準備をしたり、ブラッシングしたり。
 この日は乗馬したい子は3名いて、声を掛け合いながら準備をします。子ども同士で乗る順番を決め、集落内の散策に出掛けました。

 他の子どもは、直径4メートルほどのトランポリンで飛び跳ねたり、徒歩数分の所にある廃校の雪斜面でソリ遊びや鬼ごっこしたり、目の前の川で大きな石を渡ったり、裏山に作った8メートル程の滑り台の周りで斜面を登り何度も滑ったりしました。室内で絵を描いたり、太い梁から吊り下げてあるブランコで揺られたり、ボードゲームをする子もいます。

 この日乗馬をした大槌町の支援学校中学部1年生・佐竹惇希さん(13歳)は、三陸駒舎が障害児の受け入れを開始して第1号の登録者。利用開始して3年以上になります。動物の世話も慣れたもので自分からテキパキ進めます。惇希さんのお母さんの文恵さんは、「三陸駒舎で一番良かったことは、馬の世話」と言います。「津波で亡くなった同級生もいます。馬を通して命の輪がつながっていることを惇希には知って欲しい」。

薪でポストづくりにみんなと鬼ごっこ「ここに来ると障害があるのを忘れます」変化に驚くお母さん

 惇希さんが利用を開始したのは、2017年、小学4年の冬のことでした。
「学校では、担任の先生を叩いたり、蹴ったりしていました」
文恵さんは当時の様子をそう語ります。学校への行き渋りもあり地域のスクールソーシャルワーカーに相談したりして、三陸駒舎が障害児の受け入れを開始したタイミングで利用を開始しました。

 最初の頃は、自分の帽子を道の脇に投げてそのまま放置したり、橋から上半身を乗り出そうとしたり、スタッフを試すような行動が見られました。
 しかし数カ月も経つと、そのような行動は見られなくなりました。惇希さんは、三陸駒舎やその周辺にある資源を活かして、様々な創作物を生み出すようになります。
 土と馬糞を水でこねたものを使ってレンガや石を左官屋のように積み上げたり、廃材を組み合わせて、案山子を作って畑に立てたり。自分で薪を割り、釘でつなぎ合わせて箱のようにしたかと思ったら、それを玄関脇に取り付けてポストにしたりしました。

割った薪を使ってポストを作っている佐竹惇希さん=2019年10月
佐竹惇希さんが活動の様子を絵にしてくれた

 子どもが増えてくると、他の子に声を掛けながら馬の世話をしたり、一緒に鬼ごっこする様子も見られました。
 文恵さんに伝えると「えっ、惇希が他の子と遊ぶんですか」。いまは「元々惇希は自閉症で、みんなと遊ばない、仲間に入れないというイメージでした。でもここに来るとそういう障害があるのを忘れます」と言います。
 惇希さんは最初週1回の利用でしたが、いまは週5日利用しています。

震災後の子どもたち、沿岸部では高い割合でトラウマ反応

岩手県教育委員会の2020年度の調査によると、沿岸市町村の小中高校生で何らかのトラウマ反応を示す子は13.8%で約7人に1人の割合となっています(「心とからだの健康観察」より)。内陸21市町村の11.0%よりも高く、沿岸市町村の割合は2012年の結果からはほぼ横ばいです。

2020年度調査でも沿岸部の子どもはトラウマ反応の割合が高い

また、岩手医科大学いわてこどもケアセンター等の「みちのくこどもコホート」の研究では、「震災後に生まれた被災地の子どもに全国平均よりも高い割合で発達に遅れや落ち着きのなさが見られた」との報告があります。

震災によって地域の中に元々あった支え合いの機能が低下し、潜在的に脆弱性を抱えた子ども達の不適応が顕在化しました。震災当時3歳の惇希さんも、発生から数ヶ月は母親が少しでも見えなくなると泣き叫んだそうです。「自宅でトイレに行くときも常に一緒でした」と文恵さんは振り返ります。

減っていく子ども支援の団体 国の障害福祉制度で継続的な支援へ

継続的な支援の必要性が専門家からも指摘されていますが、釜石市内で活動する子ども支援に関わるNPOなどの民間団体は減少しています。

三陸駒舎を設立した2015年から2020年までの6年間で、釜石市内で東日本大震災に関わる子ども支援の活動から4つの団体が手を引きました。震災から年を経る毎に、復興関連事業や補助金は縮小し、被災地のNPOなどの民間団体の安定的な財政基盤の構築は課題となっています。

また、子ども支援の事業は、受益者負担で財政基盤を構築することは難しい状況があります。このような状況の中、三陸駒舎では、障害福祉サービスの児童発達支援・放課後等デイサービスという厚労省の制度を活用し、子ども達を支援する事業「児童デイサービス さんこま」を2017年12月に開始しました。冒頭で紹介した土曜日のプログラムはこの制度を活用したものです。

馬に乗って地域を散策。手綱を引いているのが筆者=2019年12月

保育園や都市部の放課後等デイサービス、放課後学童クラブなど10年余り勤務してきたスタッフの菅田いくみは「親から手をかけられている子どもたちが、自分が動物たちに手をかけることがとてもいいです。犬の散歩をしている動画を母親に見せたときに、『息子はこんな優しい顔をするんだ』と言われたことがとても印象的でした。動物たちは、ただ居るだけですがすごいなぁと思います」と話します。

「子ども中心」ではなく、「馬中心」だから子どもが成長する!~ホースセラピーの3つの効果~

 私たちが提供するホースセラピーは、「馬の暮らし型セラピー~ Equine Centered Form of Life ~」と呼んでいます。馬を中心とした暮らしによって、生きることに困難を感じる人々の成長を支援するものです。
 子どもに対する活動においても、馬を中心とした考え方は変わりません。人間を中心に据えてしまうと、どうしても関わる人の価値観が表れます。それは、子どもと関わる際に、子どもをこちらの価値観の箱に押し込めてしまう危険性を有しています。馬を先生にすることで、子どもは私たちの手から離れ、本来有していた方向へと成長していきます。
 乗馬するだけではなく、馬にエサをあげたり、部屋のウンチの掃除をしたり、堆肥を作って畑づくりしたり、馬場の柵を修繕したり…
馬と共に生きるために必要な、あらゆる活動がセラピーとなります。様々な活動が、子ども達にとって意味のある活動として提供されることで、高い効果が生まれます。

馬の背中に寝そべり、しばらく手で感触を楽しんでいた=2016年12月
馬の暮らし型セラピーの3つ効果

 セラピーの効果としては、大きく上の図の「からだ」「こころ」「脳・感覚」の3つがあげられます。
 海外では、医療保険の適応になっていたり、トラウマ・PTSDのケアにも馬が活躍していたりします。

 実際に現場で、馬と子ども達と日々関わってる中でも、セラピーの効果の大きさと、その深みを実感しています。ここでは語りきれませんので、ぜひリンク先の動画をご覧下さい。
 また、日本のホースセラピーの草分けの一人である専門家(この道30年)を招いて定期的に「馬の暮らし型セラピー」の勉強会(座学&実技)も開催していますので、ご興味ある方は、一緒の学んでいきましょう。

子どもたちが将来も関われる仕事&居場所づくりへ  「馬+パン工房」を準備中

 障害福祉サービスの児童発達支援・放課後等デイサービスが利用できる年齢は原則18歳までとなっています。18歳を超えた方も少しずつ出てきました。
 三陸駒舎ではそんな中、パン工房を基軸とした仕事づくりの準備をしています。馬や地域資源を掛け合わせた取り組みで、将来は石窯でパンを焼き、燃料となる木材は地域の山の間伐材を活用します。その間伐材は馬の力で山から運び出します(馬搬)。耕作放棄地に馬の堆肥を入れて、馬に鋤を引かせて畑を耕し(馬耕)、小麦を育てて、パンの材料にしたいと考えています。

「パン工房」のイメージ。焼いたパンを荷馬車に乗せ、子どもが集える居場所をつくり出したい
事業のアイデア。馬と地域資源を掛け合わせて価値を生み出す

 馬搬も馬耕も、40年ぐらい前までは当たり前に見られる光景でした。地域の文化を再生させながら、地域に根ざした仕事にしていきたいと考えています。機械化しないで、効率性を求めないことで、逆に関われる部分が増えて、仕事が生み出されます。
 パン工房の立ち上げを足がかりに、継続的に今の子どもたちが関わりながら、いつでも馬の力に頼れる場としていきたいと考えています。

(2021年3月掲載時の内容をベースに再編集しました。)

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