感覚統合の考え方を知ると、馬との活動、自然体験の見え方が変わってきます。感覚統合についてご紹介したいと思います。
感覚統合とは?
感覚統合とは、私たちが五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)や前庭覚(揺れや加速度、傾きを感じる感覚)、固有受容覚(筋肉の収縮を感じる感覚)などを使って環境や自分自身に関する情報を受け取り、それを脳が整理・統合して適切な行動や反応を引き出すプロセスを指します。これは日常生活における動作や感情の調整に欠かせないプロセスです。
感覚統合を提唱したAyres(エアーズ)さんは感覚統合を以下のように定義しています。
ヒトが自分の身体や環境からの感覚情報を整える神経学的過程。
Ayres 1972
環境の中で自己を有効に使うのを可能にする。
なんで馬や自然体験は感覚統合に良いの?
以下の5つの点から、馬や自然体験は感覚統合を育む上でとても良いと考えられます。
1.その子の育ちにつながる活動が見えてくる
感覚統合の発達には、個々の子どもの特性や興味を把握し、それに応じた活動を提供することが重要です。
- 馬との活動や自然体験では、子どもの反応や行動を観察することで、感覚の偏りや統合の課題が浮き彫りになりやすいです。
- 子どもの興味や成功体験に基づいて活動を計画すれば、成長を促す刺激を適切に提供できます。
- 馬との触れ合いや自然体験には予測できない要素が多いため、子どもの本来の姿が出やすく、その子に適したアプローチを考えるヒントになります。
2.非定型的な環境(地形、季節などの変化)
自然環境や馬場の変化は、感覚統合を発達させるために理想的な刺激を提供します。
- 地形の不規則性:起伏のある地面や草地を歩いたり、馬に乗るときの揺れなどが、バランス感覚(前庭感覚)や固有受容感覚を鍛えます。
- 季節の変化:天候や温度、匂い、音などの環境刺激が五感を豊かに刺激し、感覚処理能力を強化します。
- 予測不可能性:自然や動物が持つ不確実性により、脳が柔軟に環境に適応する力を養うことができます。
3.その子にあった場が選べる
感覚統合療法では、個々の子どもに合った活動の場や刺激が提供されることが大切です。
- 馬との活動や自然体験では、多様な環境や活動の選択肢があります。たとえば:
- 動的な場(馬に乗る、駆け回る)を好む子には動きを多く含む活動を提供。
- 静的な場(馬をブラッシング)を好む子にはリラックスできる活動を用意。
- 子どもの感覚処理特性(過敏、鈍麻など)に合わせて、環境をカスタマイズすることができます。
4.活動の難易が調整しやすい
馬との活動や自然体験では、活動の難しさや強度を簡単に調整することができます。
- 馬との活動では:
- 初心者にはゆっくり歩く馬を選び、慣れてきたら少し速くする。
- 馬の世話(ブラッシング、エサやり)などの静的な活動も含められます。
- 自然体験では:
- 小さな冒険(簡単なハイキング)から始め、徐々に難しい地形に挑戦するなど、段階的に負荷を増やすことが可能です。
- こうした調整は子どもの成功体験を重視し、やり遂げた感覚を育むのに役立ちます。
5.意味のある活動として提供される
感覚統合を育む活動は、その子どもにとって意味があり、興味を引くものであることが重要です。
- 馬との活動では:
- 動物との触れ合いを通じて「生き物をケアする」という明確な目的が生まれます。
- 馬との信頼関係を築くことが、社会的感覚や情緒の安定にもつながります。
- 自然体験では:
- 木を登る、虫を捕まえるといった活動に達成感や探究心が刺激されます。
- 自然とのふれあいが子どもたちにとって楽しく、意義深いものとなることで、感覚統合をより自然な形で促進できます。
ポッドキャストによる解説
ポッドキャストで感覚統合について解説した内容がありますので、お聴き下さい。
感覚統合の発達支援の実践者から見た馬の力
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