直接、子どもと関わることも大切ですが、 仕事の半分ぐらいが、馬の身体と心の健康を保つことで、 とても重要なことで、そこから沢山の学び・気付きもあります。
具体的に、どの様なお世話や調教などしているのか、お話ししました。
JAPAN OUTDOOR LEADERS AWARD (JOLA)とは、「アウトドアで未来の日本のための人づくり」をテーマにした活動に光を当てる賞です。
(以下に、その一部を転載)
全国51名のエントリーから6名がファイナリスト(優秀賞)として選出され、3/13(水)国立オリンピック記念青少年総合センターに集いました。当日、ファイナリストの中から、特別賞と大賞が発表されるのですが、なんとなんと大賞に選ばれました!(オンライン配信を見ていた娘が、発表の瞬間、驚きのあまり僕の体がのけぞっていた、とのこと)
このアワードは、個人を表彰するものですが、黍原個人の力ではなく、馬や子どもたち、現場を共に支えてくれているスタッフ達、これまでに関わりのあった方々のおかげで、いただくことができた賞です。これらの存在に感謝です。
選考委員会からは、次のような講評をいただきました。
【選考の講評】
岩手県釜石市の築100年を超える古民家をベースに、馬とのかかわりを手法とした人づくりを実践。馬とのやり取りを通して、自分自身を見つめ、成長を促していく。 馬と自然との暮らしから、人間としての土台作りに軸を置いているその姿勢、考え方や哲学、地域とのかかわりがJOLAの理念に最も合致すると考え、大賞に選出いたしましました。
このアワードが、自分にとってどんなものだったのか、いくつかの視点で振り返ってみます。
■
約2万文字の審査シート
このアワードのエントリーに際して、約2万文字(原稿用紙50枚!)を審査シートに書き綴りました。
審査シートは、合計13の項目があります。人づくりの考え方や哲学、フィールドの活用方法、社会性、アウトドアスキル、安全への考え方などについて、自身の取り組みや考えを表していきます。
13も項目があるので、様々な視点で普段は感覚的に取り組んでいることも言葉にすることで、活動の背景や自分の考えがはっきりとしました。学生時代から環境教育・野外教育の世界に携わって約25年になります。審査シートを書く作業は、一筋縄ではいかず右往左往しながらでしたが、25年の間にお世話になった方々、子ども達、様々な現場の風景などが目に浮かびました。今の自分があるのも、これらの存在のおかげだと再確認することができました。
そこのあなたも、ぜひこのアワードにエントリーを!
審査シートを作成することで、アウトドアで子ども達などに関わる人にとっては、自身の活動を振り返るとても良い機会になります。
文末に、審査シートの最後に書いた一部を添付します。ご興味ある方は、ご一読下さい。
■
表彰式に集う人々からエネルギーをもらう
集まった他のファイナリストの方々も、皆さんユニークな活動をされていて、フィールドも様々。魅力的な方々で、たくさんの刺激をいただきました。
ファイナリストの優秀賞の他にも20代のお二人が奨励賞として選出。僕が20代の時点では、あの審査シートに全く歯が立たなかったなぁ。お二人の話を伺っていると自分の活動に誇りをもって取り組んでいる情熱が伝わってきて、こちらもエネルギーが湧いてきました。
過去にファイナリストに選出された方々も授賞式に駆けつけていて、このアワードを通して、全国各地との新たなネットワークが生まれつつあります。アワード受賞者のつながりから、何か新しい取り組みが始まる兆しを感じました。
また、アワードの運営委員の皆さんや協賛企業の方々と直接お話しする機会が得られました。アワードそのものを支え、アウトドアを通して社会を良くしようと文化のようなものを醸成しようとする熱い思いを感じました。
アワードの評価基準(ルーブリック)をできあがるまでに2年間の時間を要したと、アワードの立ち上げから関わる高橋さんから伺いました。そもそも活動内容もフィールドも様々な人たちをどのように評価したら良いのか、現在の評価基準に至るまでは、何度も議論が交わされたとのことです。審査シートの項目で述べましたが、審査シートは本当に良くできた内容で、作成する中で、自分のこれまでの活動に向き合うことが求められます。
直接、様々な方々とお話するなかで、それぞれの立場で熱い思いを持って取り組んでいることを知りました。
今回、JOLA2024大賞という名誉ある賞をいただき、その重みを実感しました。
■
受賞は、ゴールではなく、道の途中
表彰式では、運営委員長の山田さんの挨拶の中で、JOLAでは「ソーシャルアウトドア」という考え方を広めていこうとしている、という話がありました。
▼
(以下、JOLAのサイトのソーシャルアウトドアの解説)
AIやITが発達すればするほどバランスをとるために必要なのがアウトドアや自然体験です。特に幼少期においては影響が大きいので配慮が必要だと言われています。人づくりにはアウトドアが必要なのです。またそのことが地域づくりにもつながっていると評価されることもあります。私たちはこのような視点をSocial Outdoor/ソーシャルアウトドア©️と呼んでいます。アウトドアフィールドで子どもや地域のウェルネスを考え、地に足の着いた取り組みを仲間と一緒に進めている、そういう方々に光を当てます。
▲
馬と共に活動するようになって、貧困・虐待・不登校・障がいなど様々な困難を抱える子ども達と関わることが増えました。
そのような子ども達が、馬や自然に出会うと様々な変化・成長が見られます。人間ができることは限られていて、馬や自然は偉大だと感じることも多いです。
現在、三陸駒舎では、福祉事業をメインにしていることから、障がい福祉の業界の状況を見聞きしてきました。
「自然体験・環境教育」の分野と「障がい福祉」の分野の両方にこれまで関わってきた僕としては、この2つの分野がもっと交わってほしいと強く願っています。
障がい福祉の分野にとっては、自然や動物達は、そこに携わる支援者の助けになります。もちろん、そこに関わる子ども達にとってもとても良い環境が提供されます。
自然体験・環境教育の分野にとっても、その場がもつ可能性がもっと活かされ、社会に対して、もっとお役立ちできると感じています。
大賞を受賞した後のスピーチで、次のようなエピソードをお話しました。
▼
セラピーの事業を開始した時の第1号の登録者の佐竹惇希さん、当時小4(現在は高2。最初は僕より背が小さかったのに、既に抜かされました。)。学校への行き渋りがあり、地元のスクールソーシャルワーカーの紹介で利用開始となりました。惇希さんは、友達とのトラブルがあって、本人は話すのが少し苦手で、嫌がらせに対して言い返せないこともあって、その子の筆箱をゴミ箱に捨てたりとか、辛い思いから母親に「なんで僕は学校に行かなくてはいけないの?」とこぼすようになっていたそうです。
三陸駒舎に来たときは、動物は大好きで馬の世話や乗馬など積極的に行っていました。ただ、試し行動のようなものも見られました。馬の活動が終わった後に、よく集落内を散歩していたのですが、自分の帽子を他人の家の敷地に投げ入れたり、橋の欄干の間から身を乗り出して川をのぞき込んだり(「やめて〜」と言いながら足を押さえていました…)などと、いわゆる試し行動のようなものも見られていました。
しかし、利用開始から3ヶ月ほど過ぎると、そのような行動も見られなくなりました。さらに、馬の活動の他に、よく薪割りをしていたのですが、割った薪を使って釘で四角い箱状に組み立てたかと思ったら玄関先に付けてポストにしました。数日後、そのポストには、手紙が入っていて、惇希さんが、「黍原さん、手紙が届いていました!」と手紙を手渡してくれて、手紙をひらいていて見ると、乗馬をする惇希さんの絵が書かれていました。(惇希さんの自作自演)
惇希さんが元々持っていたエネルギーが最初は負の方向に出ていたのが、ここで過ごすうちに正の方向に転じていったのだと感じました。
こんな感じで、惇希さんの様子が変化していくうちに、利用する子どもも増えて来て、惇希さんが他子どもたちと一緒に馬の手入れをしたり、乗馬をしたりするようになりました。ある日、惇希さんが他子どもたちと鬼ごっこなどをして一緒に遊んでいる様子を伝えました。すると、惇希さんのお母さんから、次のようなコメントをもらいました。
「えっ、惇希が他の子と遊ぶんですか?元々惇希は自閉症で、みんなと遊ばない、仲間に入れないというイメージでした。
でもここに来ると、そういう障害があるのを忘れます」
最後の一文を聞いたときに、三陸駒舎を立ち上げて、様々な苦労もありましたが、この言葉を聞くために、馬と一緒にやってきたのだと、思いました。
▲
馬は、僕らをカテゴリーや役職などで見たりしません。人間を平等に扱います。
馬たちと、この場を作ってきたことで、障害があっても・なくても関係がなく、全てが調和した世界に自然となっていったのだと実感しました。
しかし、社会を見渡せば、差別や格差は今も根強く残ります。(格差は逆に開いているぐらい…)
このエピソードは、釜石の山奥での出来事ですが、このような馬がつくり出す世界が広がっていけば、差別や格差はもとより、戦争や紛争などの争い事も泣くなり、誰もが幸せに暮らせる調和した世界になると信じています。

【合わせて聴きたい】001 どんな場所、どんな動物と活動しているの?
■お便りフォーム
▼キーワード
さんこまラジオ 東日本大震災 動物との共生
▼主な学び
さんこまラジオの活動拠点: 三駒ラジオは、岩手県の橋野町で活動しており、古民家を拠点にしている。この古民家は南部曲がり屋という建築様式を色濃く残しており、馬と人が一緒に暮らすための構造を持っている。
東日本大震災後の活動: 2011年の東日本大震災後、釜石に移り住み、子供たちの支援活動や場所づくりを行っている。震災後のストレスを抱える子供たちのために、遊び場の提供や継続的な支援を行っている。
動物たちとの生活: 活動拠点には、馬、ヤギ、ウサギ、犬などの動物が暮らしており、子供たちとの触れ合いを通じて、動物との共生を学ぶ場を提供している。
遊び場と自然環境: 活動拠点の周辺には、川や裏山、中庭などの自然環境があり、子供たちはこれらの場所で自由に遊ぶことができる。特に、川遊びやプレーパークでの活動が盛んである。
▼主な学び
▼知識の説明
1. 三駒ラジオの活動拠点
キーポイント
活動拠点は築95年の古民家。
南部曲がり屋という建築様式。
馬屋と母屋がL字型に配置されている。
2. 東日本大震災後の活動
キーポイント
震災後に釜石に移住。
子供たちの支援活動を開始。
遊び場の提供と継続的な支援。
説明
震災後の釜石では、子供たちがストレスを抱えており、遊び場が不足している状況だった。そこで、馬を使った活動を通じて、子供たちに開放的な遊び場を提供し、心のケアを行っている。
3. 動物たちとの生活
キーポイント
馬は北海道和酒の土産庫種。
ヤギ、ウサギ、犬も一緒に暮らしている。
動物との触れ合いを通じた学び。
説明
動物たちとの生活を通じて、子供たちは動物との共生や命の大切さを学ぶことができる。特に、馬やヤギなどの動物は、子供たちにとって新しい体験を提供し、心の癒しにもつながっている。
4. 遊び場と自然環境
キーポイント
宇野須前川での川遊び。
裏山にはプレーパークがある。
中庭には大きなトランポリンがある。
説明
自然環境を活かした遊び場を提供することで、子供たちは自然と触れ合いながら、自由に遊ぶことができる。川遊びやプレーパークでの活動は、子供たちの創造力や体力を育む場となっている。

さんこまラジオ〜馬と子どもの現場を声で届けます
今回のテーマは「社会的マルトリートメントと馬」。聞き慣れない言葉かもしれませんが、私たちの日常に潜む「能力主義」や「評価」という目に見えない抑圧から、いかに子どもたち、そして大人自身を解放していくかという深い問いが込められています。
東京で開催された「第3回社会的マルトリートメント予防全国研究集会」でのポスター発表を振り返りながら、三陸駒舎が大切にしている「評価なき空間」の設計図を紐解きます。馬という、人間を順位付けしない存在がそばにいることで生まれる「余白」。そして、思い通りにならない自然環境の中での試行錯誤が、いかに子どもたちの自律的な成長や身体感覚を呼び覚ましていくのかを具体的に解説します。
学校や社会の物差しに少し息苦しさを感じている方へ。馬の眼差しが教えてくれる「生きる本質」や、地域で子どもを育てるための「社会的親」という視点など、明日からの関わり方が少し優しくなるようなヒントが詰まっています。
現場での実践をモデル化した視点。下方のスライド資料と合わせてお聴き下さい。
▼ポスター発表資料(スライド、図解など)
▼第3回社会的マルトリートメント予防全国研究集会 2026/2/28-3/1
https://jace-pom.org/information/2025/12/2405/
00:00 社会的マルトリートメントと馬の接点04:20 能力主義という社会の抑圧と子どもの発達08:15 馬が持つ「評価しない眼差し」の力13:50 三陸駒舎の3層構造と「ままならなさ」の価値19:10 評価を持ち込まない大人同士の対話と仕組み26:30 研究集会で感じた「学びの主体性」という課題34:45 非言語の体験から社会を変えていくアクション
■ 関連エピソード
039 劣化する社会から子ども達を奪還せよ 〜教育の中身の前に、社会をどう捉えるか?
本編で触れた「能力主義の抑圧」 [cite: 1] の正体に迫る回です。教育の手法を議論する前に、私たちが無意識に飲み込まれている社会構造をどう捉え直すかを考えます。
https://open.spotify.com/episode/7M1Qsd0xaFkZzCvxKEc0MX
037 身体性がないと人を幸せにできない〜馬とのアフォーダンスで身体性の獲得せよ
社会的マルトリートメント予防の基盤となる「非人間基盤層(馬や自然)」 [cite: 1] に深く関わる回です。言葉による評価ではなく、馬との身体的なやり取りがいかに人を健やかにするかを解説します。
https://open.spotify.com/episode/2gljpkx2DlFDUMI3qp9gas
010 馬との関わりは、子どもとのコミュニケーションに通じる
「馬は人間のような序列や評価をしない」 [cite: 1] という今回の核心部分を、より具体的なコミュニケーション論として展開。馬を先生として仰ぐ姿勢が、対等な関係性を育むヒントになります。
https://open.spotify.com/episode/5AqSxg9qAm9z9r8zKUqSiL
▼パーソナリティ
黍原豊 きびはらゆたか(一般社団法人三陸駒舎)
https://kamakoma.org
▼お便りフォーム
https://forms.gle/9St7s9semEhuF3DR8
最後に流れる曲は、本編で話した内容を文字起こしして生成AIで作詞作曲しました。
評価のない風に吹かれて〜馬の瞳と、ままならない自由
[Verse]
「もっと上を目指して」と 背中を押す社会の影
「できない」は「直すべきこと」と 誰かが勝手に決めた
数字や成績が ぼくらの価値を決めるなら
この息苦しさは どこまで続いていくんだろう
それは個人の弱さじゃない 社会が映すひずみ 「社会的マルトリートメント」 誰かの心が枯れていく
[Chorus]
馬の瞳は 決してぼくらを評価しない
ただ「今」を生きる命を そのままに映し出す
比べなくていい 効率もいらない 評価のない空気が ぼくらをそっと包み込む
ままならない自然が 教えてくれる
「そのままで、ここにいていい」という 自由を
[Verse]
築百年の古民家 馬と草木の匂い
思い通りにいかないから こそ生まれる余白
教えすぎず、比べず、ただ一緒に考える
誰かの役に立ちたいと 自分で一歩を踏み出す 体で覚えるルーティン 繰り返す安心の場所 馬と自然が土台となって ぼくらを守っている
[Bridge]
診断名や成績で 人を分けるのをやめて まるごとの「あなた」と 出会うことから始めよう
当たり前だと思ってた 鎖をひとつ外して
個人の痛みは 構造の光で溶かしていこう
[Chorus]
馬の瞳は 決してぼくらを評価しない
ただ「今」を生きる命を そのままに映し出す
比べなくていい 効率もいらない
評価のない空気が ぼくらをそっと包み込む
ままならない自然が 教えてくれる
「そのままで、ここにいていい」という 自由を
[Outro]
馬と、自然と、響き合う心 この場所が土台となって 予防の種を広げよう 評価のない風が 今日も優しく吹いている
#馬 #ホースセラピー #社会的マルトリートメント #自然体験 #子どもの発達 #教育の本質 #能力主義 #非認知能力 #療育 #発達支援 #身体感覚 #対話 #三陸駒舎 #子育て #野外教育 #関係性の教育 #評価なき空間 #自己肯定感 #森のようちえん #非言語コミュニケーション

「さんこまラジオ」への、ご質問やご感想、今後取り上げて欲しいテーマなどをコチラで募集しています。
ポッドキャストのアプリで番組を登録いただくと、新しい配信が自動的に届くようになります。
お勧めのアプリ
- iphone → 【アプリ】Apple Podcast 番組登録
- android → 【アプリ】Overcast 番組登録
- Spotifyでも登録できます。







コメント